INTERVIEW(第2回):1stアルバム全曲コメント
2015.11.22 : Yoshiko Nakano
2015年11月に、ハマリオの1stアルバム『HAMARIO』の配信がスタート。どのようにしてこのアルバムが生まれたのか?その制作舞台裏を、各曲ごとにメンバーが語ります。
★1stアルバム『HAMARIO』の配信がようやく始まりましたね。
ハマ:もっと早くやる予定だったんだけどね。
オリ:2ndアルバムとか色々あって、まぁ正直、忘れてたんだけど(笑)。で、冬っぽい曲が多いから、寒くなってきたらやろうと思ってたのを、気温の変化で思い出したという。
★このアルバムは一部の人から熱い支持を得る事が出来たようですが。
ハマ:俺らの周りのおっさんと子供からだけだけどな(笑)。
オリ:売れてはいないけどな(笑)。
ハマ:まぁインディーですらない雑草バンドとしては、いい評価をもらったと言えるんじゃないかな。活動スタンスはそれこそ学園祭バンドと大差ないけど、出す音のクオリティは一丁前だからさ。
オリ:期待されないで聴かれる分、評価が甘くなるという。
ハマ:結構、音を聴いて驚くんだよ、みんな。そもそも2人とも今まではテクノ系の音楽やってた印象があるから、「あ、シンセじゃない」とか「ロックできるんだ」とか「なんかあったの?」みたいな声があったりとかさ。
オリ:音源作りという事で言えば、俺らからすると、電子音だけで構築するか、生楽器を混ぜて構築するかだけの違いでしかないんだけどね。音色が変わると別のジャンルの音楽になるという。
★この機会に全曲に関してコメントしてもらいたいと思います。まずは「AKIHABARA」について。
オリ:全曲やんの?面倒くせえな(笑)。
ハマ:(笑)。これはハマリオを始めるにあたって、一番最初に渡したデモに入ってた曲の1つ。インストから始まるアルバムにしようって事で1曲目になった。
オリ:「マンチェやろうぜ」と言われて、最初にこれが届いたんだよ。だから始まる前にコンセプトは無意味になった(笑)。ハマのギターって結構ノリ的に突っ込み気味な事が多いんだけど、これは逆にそれが疾走感を生み出してる。タイトルは呑み屋でハマが決めた記憶があるんだけど、よく思い出せない。
ハマ:もともとつけてたタイトルが、あるバンドの名前で、そのまんまのスタイルだからやめようぜって、オリが言ったんだよ。んで、その逆のイメージで世界に通じる日本発的な名前ってことで。この理由は後付けね。結局なんでもよくて、飲み屋で思いついいただけ…。ギターは、ストラトとグレッチを左右で使い分けてるんだけど、どっちがどっちかよくわかんないなぁ。ハーモニクスがやたらに出てる方がストラトのはず。
★「男と女」
ハマ:これも初期の曲の1つ。サビの「幸か不幸か二人は男と女に生まれて」の所だけ歌詞があって、他はなかったので、後はオリに投げた。
オリ:最初に書いた歌詞。とりあえず何にもハマリオの歌詞のコンセプトがなかったから、正直適当にやったんだけど、いま思えばその適当さが出てるね(笑)。とは言えサビがキャッチーなんで、このアルバムで一番好きな曲だって言われる事が多いな。
ハマ:歌をマネする子供がいるくらい人気がある。
★「ライフワーク」
ハマ:とにかく歌詞がさぁ、まあ俺らが歌うにふさわしい感じで、ハマリオの王道って感じの太い曲のイメージがあった。この曲あたりからアレンジに明確にオルガンを入れるという方向性だったんじゃないかな。ギターのリフがめんどくせぇなぁって、いまだに思ってる曲だな。
オリ:ストレートな8ビートの曲が多かったので、ちょっと変わったのをやろうと思って作った。ハマから、ある日このオルガンが送られてきてテンション上がったね(笑)。
★「往き帰りの女神」
オリ:1stアルバムってお互いがどいう事ができるかまだわからないじゃん。だからちょっとずつ歩み寄る過程が曲にも現れてると思うんだけど、最初にハマからスタンダードなロックっぽい「AKIHABARA」「男と女」が届いて、その後に俺が「5月の雨の夜」「プリテンダーズ」というUK路線の曲を送ったら、ハマが俺の方向に寄せてくる感じでこの曲を送ってきた。しかも「この曲はピーター・フック風ベースで」との指示付きで(笑)。
ハマ:シンセベースでデモを作ったんで、ベースやることないからリード・ベースやってくれや、ってことになるわな。そもそも、このユニットは俺がピーター・フックごっこをやりたかったら組もうとしたんだけど、気がついたらギター&ボーカルになってた。
オリ:歌詞的には「女子高生とおっさん」シリーズの1曲だな。
ハマ:そんなシリーズあんのか?(笑)。要はポリスの「見つめていたい」でしょ?俺、バスはよく使うけど、こういうシーンは未だにないな。
★「月とオリオン」
オリ:「普通にいい曲」みたいなのもあっていいかなと思って作った。一緒にやってると良くあるんだけど、デモ段階だとハマはピンと来てない感じだったのが、ある時から異常にこの曲が良いって言い出して、結局ライブでもよくやる曲になったという。
ハマ:これは名曲だよ。オリの曲はわりと大人っぽいから、俺みたいにまずキャッチーかキャッチーじゃないかのフィルターで曲を聴くと大事なところを逃すところがある。アコギの入りとか、いわゆるユルいニューウェーブっぽい感じがとても良いし、歌詞も映画的だと思うね。
★「聖職の病」
オリ:アルバム制作後半にできたやつで、この頃にはもうアレンジ的にも楽曲的にもハマリオのスタイルが見えてたんで、俺としては「男と女」と同じぐらい1stを象徴してる曲な気がしてるかな。歌詞もドラマ性を取り入れて、非常識な主人公を一人称に据えるとか、自分なりに新しいチャレンジがうまく行ったなって感じ。
ハマ:これ歌うの抵抗あったなぁ。俺のことじゃないけど、さもありなんって感じだし。事実、ライブで「学校の先生っぽいから実話も少し入ってるよね?」とか若者が言ってたのを耳にしたし(笑)。人間的な演奏アレンジでとてもバンドっぽい曲だと思う。
オリ:映画と小説がみんな実話だと思ってる世代の若者だろうな(笑)。
★「愛なき世界」
ハマ:ドメジャーな洋楽曲で、同じようなサビメロの曲があるんだけど、勢いで作ったからそれに気づかなくて、後で気づいた。
オリ:それ言い出したら、このアルバム、相当何かに似てる曲入ってるけどな(笑)。わかる人はわかってると思うけど。サビメロよりこの曲はAメロがいいんだよ。最初聞いた時に感動したもん。デモはシューゲイザーっぽいアレンジだったけど、結成当初に言ってたマンチェのコンセプトを少しでも入れてみようと、リズムアレンジを変更した。
★「プリテンダーズ」
オリ:まぁニュー・オーダーがやってみたかっただけだよ(笑)。学生時代に使ってたYAMAHAのBX-1というベースを数十年ぶりに使ってみた。
ハマ:こんどそのベースをライブで使おうぜ。この曲はギターもバーナード・サムナーとナイル・ロジャースを混ぜた感じで弾いてる。それにしてもこの歌詞は刺さるねぇ、人生経験積んでるとさ!
オリ:元の歌詞はハマが書いてて、それをより嫌〜な感じに聞こえるよう加筆した(笑)。
★「高架下の導師」
ハマ:この曲は一応デモを渡したけどボツにしようと思ってた。でもオリが曲の背骨をごっそり入れ替えるくらいの大手術をしたら、別人になって生き返ったという。個人的にはエレピがけっこう効いてると思う。ま、自分が聴きたいアレンジにしただけなんだけどね。
オリ:最初来たデモが、もっとテンポの早い8ビート寄りの曲だったんだけど、もうその頃には似たようなトーンの曲あったから、思い切ってテンポをぐっと下げて16ノリに変えて、さらにメロディーの譜割りを半分に縮めるという荒技をやってみたら、すごい良くなった。このワウギター、カッコイイな!
ハマ:ライブでやりたいんだけど、歌詞が覚えられないかも…。とにかく言葉多いんだよな、この曲。
★「5月の雨の夜」
オリ:俺がハマリオで一番最初に作った曲。ハマから来た最初のデモを聞いて「マンチェやらないんだな」と思ったので、一気にニューウェーブ路線に舵を切ったという(笑)。毎回ライブでやろうという話になるけど、一度もやってない。
ハマ:なかなかオリはまじめでね。コンセプトに忠実だから、この曲のデモを聴いて安心した(笑)。好きにやりまっせー!って感じで。これも、俺の中では「月とオリオン」と並ぶ名曲。
★「Another Face」
オリ:ハマから「昔作った曲があるんだけど、これ何とかなる?」って感じで、JAZZバラードみたいなデモが届いて、どうしようかなと思ったけど、結局は元のアレンジを完全に無視して別物に変えちゃった。
ハマ:ギターがチョーキング使ってるから難しいなぁ、と思ったよ。
オリ:初心者か!ギタリストの言葉とは思えんな(笑)。
ハマ:これはこれで良くできたアレンジだね。歌い方もピッチを検出しないくらい喉つぶしてがなった感じだし、後半の「7人の刑事」コーラスは、とあるコメディ・アルバムへのオマージュなんだな。このコーラス、オリに却下されると思ったけど、生き残った!
オリ:長さを半分にしてくれとは言ったけどね(笑)。
★「黄昏に別れを」
オリ:確かこの曲が「高架下の導師」の初期デモのアレンジに似てたんじゃなかったかな?すごい昭和の歌謡曲って感じの哀愁メロディーだったから、アルバムの最後に合うかもと思って、そういう歌詞にした。1stアルバムで解散してもしっくり来るしね(笑)。
ハマ:これをアルバムの最終曲にしようと言ったのは、そういう理由だったのか(笑)。デモのアレンジは、Charとかがやりそうなギターのカッティングをメインにしたものだった。この曲は歌謡曲っつうか演歌だね。この曲キーボードはYAMAHAのDX7のGlasspikkaというすごく良い音を使ってます。
★お疲れさまでした!もうこれで充分です。最後に何か。
オリ:買って!
ハマ:デカい音で聞いて!
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