愛なき世界

二度と飛べない
憐れな死骸
風に抗い
いまは冷たい

冬の凪いだ朝焼けが
水彩の都市を解き放つ
通りの隅に打ち捨てたような
黒い塊に立ち止まる

俺もそうさ抜け殻だ
信仰はゆうべ消え去ったんだ
灼熱の指がみぞおちを掻き回す
痛みの街路樹に雪が舞う

二度と飛べない憐れな死骸
風に抗い
夢見た未来
いまは冷たい憐れな死骸
なんて小さい
なんて儚い

騒々しく動き出した街に
静寂は否定される

二度と飛べない憐れな死骸
風に抗い今は冷たい

誰かに出逢い
愛を分け合い
手にした未来

なんて儚い