五月の雨の夜

冬に愛した人が死んだ
雪の森のなか見つかった
それだけの事さ

春に左目を失った
そして本はみな燃やしたんだ
それだけの事さ

五月の雨が降る悲しい夜に
五月の雨が打つ音のなかで
朝を待っていた

夏に会社はもう辞める
これで空っぽになるだろ
それだけの事さ

五月の雨が降る冷たい夜に
五月の雨が打つ音のなかで
朝を待っていた

五月の雨が降る悲しい夜に
五月の雨が降る冷たい夜に
五月の雨が打つ音のなかで
朝を待って
待って
待っていた