高架下の導師

うまくいかないとそいつは言う
手を伸ばす度に遠ざかると
力不足だとそいつは言う
慰めの言葉を聞く用意をして

週末の夜
あふれる人たち
高架下にはありふれた景色
赤ら顔した導師は語りだす
繰り返すがよく聞けよ

いまはただ
蜃気楼をめざして灼けた砂を踏みしめろ
新世界をめがけて嗄れた声をはりあげろ
何度だって倒れて
何度だってまたやり直せ
灰色の翼が銀に変わるときまで

「でも」とか「だけど」とそいつは言う
言い訳の言葉に気づきながらも

週末の夜にぎわう人たち
高架下にはありふれたコント
鳥頭に経を詠む上司
明日になったら忘れる部下

いつだって
蜃気楼をめざして荒れた海に帆をあげろ
新世界をもとめて孤独の中つきすすめ
何度だって倒れて 何度だってまたやり直せ
そうさみんなおまえに期待しているんだ

例えそこに何もなかったとしても
手に入れた答えは 借り物なんかじゃない
例えそこに何かがあったとしたら
また別の旅へと出かければいい

だからただ
蜃気楼をめざして灼けた砂を踏みしめろ
新世界をめがけて嗄れた声をはりあげろ
何度だって倒れて
何度だってまたやり直せ
灰色の翼が銀に変わるときまで